あいみょん「生きていたんだよな」2番Aメロ/歌詞の意味
彼女が最後に流した涙
生きた証の赤い血は
何も知らない大人たちに
2秒で拭き取られてしまう引用:生きていたんだよな/作詞作曲 あいみょん
ここでも状況説明を語っています。
その場に広がる血は、少女にとっては生きた証です。
でも、その場を綺麗にしなければならない大人達にとっては、ただの汚れ。
作業的に片付けるだけのもの。
共感への誘導と、冷静な状況把握のための描写になっています。
立ち入り禁止の黄色いテープ
「ドラマでしかみたことなーい」
そんな言葉が飛び交う中で
いま彼女はいったい何を思っているんだろう
遠くで 遠くで引用:生きていたんだよな/作詞作曲 あいみょん
自分の身に起こっていないことだからこそ、その場にいる人たちにとっては『ドラマ』の中のような気分でいます。
周囲の人たちからしたら「非日常」なのでしょう。
しかし、自殺をしてしまった少女にとっては現実のこと。
自分の行動をもって伝えたかったことはあったのでしょうか。
周囲の人の反応を見て後悔をしているのでしょうか。
そして、1番のAメロでも繰り返された言葉の繰り返し。
1回目の『遠くで』は少女の状況、2回めの『遠くで』は少女に思いを重ねる自分の目線。
語りから歌へとフェードインするように表現されていることで、状況の変化というのが感じ取れます。
あいみょん「生きていたんだよな」2番Bメロ/歌詞の意味
泣きたくなったんだ
泣きたくなったんだ
長いはずの一日がもう暮れる引用:生きていたんだよな/作詞作曲 あいみょん
彼女に思いを重ねて『泣きたくなった』のでしょうか?
どうしようもなく泣きたくなる時ってありますよね。
きっとこんな状況の時なのだろう、と思います。
嫌なことばかりの一日だったかもしれない。
何もない一日だったかもしれない。
少女のニュースを見て心を動かされ、気が付けばもう一日が終わる。
それだけ深く、このことを考えていたのだということが解ります。
あいみょん「生きていたんだよな」2番サビ/歌詞の意味
生きて生きて生きて生きて生きて
生きて生きて生きていたんだよな
新しい何かが始まる時
消えたくなっちゃうのかな引用:生きていたんだよな/作詞作曲 あいみょん
嫌なことがあっても必死で生きているものにとって、変化は不安でしかないのかもしれません。
『新しい何か』が何かはわかりませんが、良い環境になるかどうかもわからない状況に絶望することもあるかもしれません。
不安で不安でしょうがない、それでも必死でここまで生きてきた。
きっとその上で出した結論だったのでしょう。
あいみょん「生きていたんだよな」Cメロ/歌詞の意味
「今ある命を精一杯生きなさい」なんて
綺麗事だな。
精一杯勇気を振り絞って彼女は空を飛んだ
鳥になって 雲をつかんで
風になって 遥遠くへ
希望を抱いて飛んだ引用:生きていたんだよな/作詞作曲 あいみょん
人は自分の物差しで「自分で命を絶つなんて」と、ありきたりな言葉を投げかけます。
でも、許容量は本当に人それぞれです。
少女は精一杯生きた結果なのでしょう。
本当に追い詰めている人の命に誰が口出しできるのでしょうか。
少女があらゆる苦痛から解放されたということを『空を飛んだ』と表現しているのだと思います。
気持ちが軽くなることで、希望をもって次に進んだのではないでしょうか。
そう読み取れる歌詞になっています。
あいみょん「生きていたんだよな」ラスサビ/歌詞の意味
生きて生きて生きて生きて生きて
生きて生きて生きていたんだよな
新しい何かが始まる時
消えたくなっちゃうのかな引用:生きていたんだよな/作詞作曲 あいみょん
この曲では、少女がなぜ消えたくなってしまったのかは 明確にされていません。
ただ、『自分』が少女に対して消えたくなってしまうと解釈したのは、自分の中にもある感情だから、なのだと思います。
生きて生きて生きて生きて生きて
生きて生きて生きていたんだよな
最後のサヨナラ他の誰でもなく
自分に叫んだんだろうサヨナラ サヨナラ
引用:生きていたんだよな/作詞作曲 あいみょん
必死で生きてきたからこそ、最後は頑張ってきた『自分』にサヨナラを叫んだ。
お別れするのは他の誰でもなく、「辛かったであろう自分」なのかもしれない・・。
そう共感したのかもしれません。
ありふれたニュースから感じ取る、当事者の視点..。
「少女が飛び降り自殺をした」という、一見衝撃的なようで、実はありふれたニュース。
いつもなら何気なくスルーしてしまうような、自分とは関係のない”テレビの向こう側”の話。
ただ、この時に限っては「少女の死」という事実が彼女に深く飛び込んできたんでしょう。
「可哀想に」と表面的な思いではなく「なぜ死んだのだろう? どんな気持ちだったのだろう?」と深く考えた結果、否定ではなく共感という結論に至ったんですね。
「死という希望」に向かった少女への共感が癒される楽曲。
人それぞれ感じ方は違うかもしれませんが、「いろんな共感の形がある」という意味をこの曲は教えてくれている気がします。
『精一杯生きなさい』なんて綺麗事が逆に追い詰めることもあるということです。
しかし、あくまでこの曲は「命を絶つ」ということを勧めている訳ではなく、「生きる」ということを考えさせてくれるものです。
共感を得られない絶望感を、少しでも軽くしたい時に是非聴いてみてください。
「生きていたんだよな」ジャケット写真は何故パンツ?
ところで気になったのが、この「生きていたんだよな」のジャケット写真。
菊の花束のようですが、何やら白いモノを履かせているような・・
なんだか「パンツ?」のようにも見えますが、気のせいですかね?
気になって調べてみたんですが「あいみょん」のツイッターに答えがありました。↓
「生きていたんだよな」のジャケットイメージしたお花を関西AIMの皆から頂き、嬉しい。パンツもしっかりかかってる、ありがとう〜、感謝。 pic.twitter.com/DIMsvpk2BW
— あいみょん (@aimyonGtter) February 18, 2017
どうやら、ジャケット写真の白いものは「パンツのようです」(笑)
ちなみに、このジャケット写真を担当しているのも今となってはvery shoet movieでお馴染みの、とんだ林欄さんです。
何故、花束にパンツを履かせているのか….。
これに関しては理由はわかりませんでした。
ただ、いろいろな記事を見ていると、曲の印象を良い意味で裏切りたかったのと「これぞアート」ということ…らしいです。
要は、「意味なんて….なくても良いじゃない。アートなんだもの。」っていうことですね。
あいみょん「生きていたんだよな」歌詞の意味は? まとめ
いかがでしたか?
この曲は客観的に少女の状況を見つめる「自分」の感情や共感を歌った曲だと解釈しました。
決して自殺を肯定するわけでも否定するわけでもなく、一生懸命生きた少女を認めて労う意味も込められているのではないでしょうか?
相手の立場で考えることで、いろいろな視点を持って考えることができるのだと思います。
ちなみに、2020年のニュースzeroのテーマ曲として書き下ろした『さよならの今日に』も、同じように「他者の視点で物事を考える」という想いが込められています。
そちらの歌詞も気になる方はチェックしてみてください。