ここでは、あいみょんの『さよならの今日に』の歌詞の意味について解釈&考察をしていきたいと思います。
この曲は「news zero」のテーマ曲で「ニュースを『自分ごと』に」というテーマのもとあいみょんが書き下ろした楽曲。
冒頭から哀愁を感じさせる雰囲気でなんだか涙がこみ上げてきますね。
そんな「さよならの今日に」の情景を読み解きつつ、歌詞の意味について考えていきたいと思います。
そしてサビに出てくる”不滅のロックスター永遠のキング”とは、一体 誰を意味するのでしょうか?
あいみょん「さよならの今日に」はどんな曲?
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あいみょん『さよならの今日に』歌詞
泥まみれの過去が まとわりつく日々だ
鈍くなった足で ゴールのない山を登る恋焦がれたこと 夢に起きてまた夢見たこと
これまでを切り取るように 頭の中を巡る明日が来ることはわかる
昨日が戻らないのも知ってる
できれば やり直したいけれど切り捨てた何かで 今があるなら
「もう一度」だなんて そんな我がまま
言わないでおくけどなそれでもどこかで今も
求めているものがある
不滅のロックスター”永遠のキング”は
明日をどう生きただろうか?傷だらけの空が やけに沁みてく今日
鈍くなった足で 河川敷をなぞり歩く涙が出ることはわかる
気持ちが戻らないのも知ってる
それなら やめてしまいたいけれど残された何かで 今が変わるなら
「もう一度」だなんて そんな情けは
言わないでおくけどなそれでもどこかで今も
望んでいることがある
伝説のプロボクサー”謎に満ちたあいつ”は
明日をどう乗り越えたかな吹く風に任せ 目を閉じて踊れ
甘いカクテル色の空を仰げ
そんな声が聞こえる切り捨てた何かを 拾い集めても
もう二度と戻ることは無いと
解っているのにな切り捨てた何かで 今があるなら
「もう一度」だなんて そんな我がまま
言わないでおくけどなそれでもどこかで今も
求めているものがある
不滅のロックスター”永遠のキング”は
明日をどう生きただろうか?
伝説のプロボクサー”謎に満ちたあいつ”は
明日をどう乗り越えたかな引用:「さよならの今日に」作詞作曲/あいみょん
「さよならの今日に」は、日本テレビ系のニュース番組「news zero」のテーマ曲として あいみょん が書き下ろした楽曲。
世の中で起きた「ニュースを『自分ごと』に」というテーマを元に作成された歌詞となっています。
MVは、渋谷駅再開発地の中心である「桜丘の再開発地区の敷地内」で特別許可を得て撮影したそうです。
-あいみょんコメント
この場所は日々変化していく場所で、
もう一度この景色で撮りたい!だなんて我儘言っても、もう撮れないです。
本当に貴重な経験をさせて頂きました。
いつか自分が歩いた土の上が恋しくなるほど
ピカピカになってく渋谷の街に、
私は何を思うのかなぁと。ふと考えてしまいます。
戻れないのは分かってるけど。
是非、沢山観て欲しいです。
宜しくお願いします。高い所、怖かった。
-山田智和監督コメント
2020年最初に撮るMVとして、渋谷駅再開発地域の中心、桜丘の再開発地区の敷地内で特別許可を得て撮影をさせて頂きました。
今しか撮影できないであろう現在の日本の中心地と、楽曲の現在性をもって、しっかりと今というものを記録し、後世に残したいと思いました。
楽曲の力強さから、自分の意志で生きることとは何かを感じ取って欲しいと願っています。
最初は「なぜ工事現場から?」と思いましたが、そういうメッセージが込められていたんですね。
二度と撮ることのできない場所で撮るという、こだわりの詰まったMVに仕上がっています。
ちなみに、フルサイズ公開前の”very short movie”は、これまで同様に とんだ林欄さんが担当していて、映像が逆再生する なんとも意味深なMV。
でも、今回もやっぱり全然違う映像になりましたね。
”very short movie”とフルバージョンのMVでは内容が全く違ってくるのも、あいみょんのMVの特徴
フルサイズ公開前のこのバージョンもファンにとっては楽しみのひとつになっていますよね
ちなみに、あいみょんの『さよならの今日に』は、配信限定リリースとなっていますので、シングルカットはされません。
あいみょんに とって「ニュース」とは?
あいみょんは 毎日必ずニュース番組を見るそうですが、new szero のインタビューで あいみょんがニュースに対する想いを語っています。
世の中で今何が起きているのか、純粋に気になるから絶対毎日見ます。今の時代ネットニュースだってありますし、どうしたってニュースが流れてくる時代じゃないですか。
でも、ニュースで起きていることを「すべて過信しすぎてもあかん」という距離感で見ています
さっきテレビではこう言ってたのに、ネットでは全然違う感じやし、何がホンマかわからへん。
自分が見た情報だけを簡単に信じすぎない、今 必要とされている”メディアリテラシー”につながる考え方だと、”new szero”でも紹介されていました。
ちなみにメディアリテラシーとは「自分自身でメディアや新聞の情報を見極める能力」のこと。
何が真実で何が正しいのか、そして自分たちはどのように行動すべきなのか・・・。
まさに、メディアに流されやすい、今の世の中に必要な能力ですね。
そして、あいみょん は”ニュースのその後”に対しても興味を持ってしまうと語っていました。
ニュースを見ていると、自分の人生に全く関係なかった人のことまでも自分の人生になってしまう..。勝手に人の人生に踏み込んでしまいますね。
気になりません?あの人がこれからどうなるのか。「判決が出ました..懲役何年です」基本的にそこまでじゃないですか。
じゃあ、そのあとはどういう人生を歩むか…っていうのは袋とじにされちゃうような感じ。
無責任に報道されるニュースのその後にも”人の人生”がある。
時には「その後」にも目を向けて、そこで「スパッ」と終わってしまった”情報の未来”を想像することも今の時代には大事なのかもしれないですね。
他者の視点で考えるということは、思いやりにつながります。
無責任な報道で苦しむ被害者、加害者の家族、それらの当事者の目線になって考えることも大事なのではないでしょうか?
あいみょん「さよならの今日に」歌詞の意味は?
ここからは「さよならの今日に」の歌詞の意味について深く掘り下げていきたいと思います。
「さよならの今日に」は、毎回 news zero のエンディングで、その日のニュースをまとめた映像とともに流れるのですが、
もう一度「私たちは何を想うべきか」を問いかけています。
あいみょん はこの曲を通じて「どこか他人事に感じてしまうニュースを”自分ごと”のように感じてもらえるキッカケになって欲しい。」と語っていました。
「自分の人生にもどこか引っかかる部分はないか?」そのことを考えながら聴いて欲しい曲ですね。
追記:どうやらこの曲の主人公はもう取り戻すことのできない後悔と、心が傷つき極限に追い詰められた状態のようです。
そんな姿をイメージしつつ、主人公を通して何を考えるべきか。
それをテーマに歌詞を見ていただきたいと思います。
彼を支配する過去と後悔とは…?/1番Aメロ
泥まみれの過去が まとわりつく日々だ
鈍くなった足で ゴールのない山を登る恋焦がれたこと 夢に起きてまた夢見たこと
これまでを切り取るように 頭の中を巡る引用:「さよならの今日に」作詞作曲/あいみょん
振り払うことのできない暗い過去がまとわりついている日々。
主人公は過去に何か過ちを犯したのでしょうか。
暗い過去や思い返したくない苦い過去のような気がします。
鈍くなった足が、何かに疲れ果てている様子を表現していますね。
ゴールのない山には、終わりの見えない不安な未来を感じます。
恋焦がれるのは、人に対してもそうですし、何か挑戦するモノに対しても言えますが、夢に見るほど何度も何度も考えたのでしょう。
いったい何が彼の頭の中を支配しているのか…。
「これまでを切り取るように」では、まるで走馬灯のような印象も受けますが….彼が置かれている現状とはいったい何なのでしょうか。
とにかく、明るく幸せな印象はうけません。頭の中を巡る”過去”が、主人公を苦しめているのでしょう。
何かに挫折したようにも思えます。
抗えない時の流れと、訪れる現実。/1番Bメロ
明日が来ることはわかる
昨日が戻らないのも知ってる
出来ればやり直したいけれど引用:「さよならの今日に」作詞作曲/あいみょん
改めて「無理なのは解っている」けど、それでもやり直したい過去。
人それぞれあると思います。
何かに挑戦し、夢に破れ、後悔を繰り返す。
でも過ぎた過去は取り戻せない、人生ってそういうものな気がします。
でも「わかってる。わかってるけど、やり直したい…。」誰もが思う気持ちですよね。
ここでは”時の流れに逆らえない現実”が表現されていて、この曲の主人公の心情がなんとなく想像できる部分です。
ただ、それが何なのかはまだ分かりません。
彼がやり直したい後悔、そして取り戻せない過去とは一体何なのでしょうか?
切り捨てた過去が未来につながる…なんて確証はない。/1番サビ
切り捨てた何かで今があるなら
「もう一度」だなんてそんなわがまま
言わないでおくけどな引用:「さよならの今日に」作詞作曲/あいみょん
彼は何か大きな代償を払って、今ここにいるのでしょう…。
仕事、時間、もしくは家族だったり恋人だったり….。
”切り捨てた何か”は、聴いた人それぞれに思い当たる部分があるのではないでしょうか?
「あの時こうしていれば。」「あの時ああしなければ。」どうしても後悔として思い出される部分が多くなりがちですよね。
でも「その過去があるから今の自分がある。」
と、、、言いたいところですが、この部分の歌詞は逆説的な表現になっています。
「切り捨てた何かで今がある(なんて根拠がある)なら….
「もう一度」だなんて(ネガティブなこと)言わないでおくけどな。」
つまり、【そんな綺麗事で片付けられる確証も根拠も今の時点ではないから「もう一度やり直せたらな…」ってその時は言っちゃうよね。】という意味です。
歌詞をよく見ると「〇〇だったら、そんなわがまま言わないでおくけどな。」と、確証のない未来に対して、今は腑に落ちていない心情が描かれています。
確かに、「だから今がある」なんてことは過ぎ去った過去にしか言えない言葉なので、困難に直面している最中はそんなポジティブな事、なかなか思えません。
だから「やり直せたら…。」と思わず嘆くのでしょう。
一見すると「切り捨てた何かがあるから未来があるんだよ~」という風に聞こえがちですが、実は「○○だったら、そんなこと言わないのに・・。」という逆説の表現なんですね。
肯定的なことを言われるより、弱みを表現した歌詞なので、より心に響く部分です。
ですが、最後の部分ではしっかりそのネガティブを回収します。
”不滅のロックスター”なら、今をどう生きるだろうか。
それでもどこかで今も
求めているものがある
不滅のロックスター 永遠のキングは
明日をどう生きただろうか引用:「さよならの今日に」作詞作曲/あいみょん
「それでもどこかで今も 求めているもの」
それは「今という現実が未来につながる」という希望のこと。
先ほどの部分では、ちょっとネガティブな印象があったのですが、ここでは少しだけ前向きに気持ちが変化しています。
同時に「確証ない未来でことは分かっていても、やっぱり希望を求めてしまうよね。」という、自分の弱さも受け止めた歌詞です。
そして次の歌詞では、「もしあの人ならどう生き抜くのだろうか?」と、自分とは別の視点に立って考えることの大切さを表しています。
ニュースの場合だと、当事者の気持ちになって考えるということで、それは、被害者であろうと、加害者であろうと、同じこと。
あいみょんが 伝えたい「ニュースを「自分ごと」に」という、他者の目線で考える大切さとヒントがこの言葉に込められていますね。
一方向から見た景色では、本当の姿は見えませんし、偏った考え方もそこから生まれてしまいます。
だからこそ、”不滅のロックスター 永遠のキングは…”というように、敢えて 自分とは”遠い存在”を持ってきているのでしょう。
そしてそれは、どんなに神格化された存在だったとしても同じで、きっと悩みや葛藤を抱えていたはず。
彼が今、この時代に生きていたとしたら、何を考え生き抜いたのだろうか?
そうやって主人公が何かを思いとどまっているようにも感じます。
そして「あの人ならどう考えるだろう?」と疑問を投げかけ、聴いている人へのヒントにしているようにも…。
ここで”永遠のキング”を持ってくるあたりが あいみょんのオシャレセンス炸裂って感じですよね。
ちなみに、ここでいう”不滅のロックスター 永遠のキング”は、おそらくマイケルジャクソンの事。
永遠のロックスターなら、彼しかいませんよね。
よくTシャツでも着ているのでおそらくそうだとは思いますが、「憧れてきたんだ」の歌詞のロックスターと一緒かどうかについては、、、
わかりません(笑)
あいみょんが「憧れてきたんだ」の中で歌ってる
“私が知ってるロックスターなら”ってマイケルジャクソンのことなのかな pic.twitter.com/JH7TOEKL44— yumiko😈☪︎·̩͙˚·👕 (@yumi0417108) June 1, 2019
「憧れてきたんだ」では、ギターを握らせてやれと言っているので、マイケルではないのかと・・・。
すみません脱線しましたね。
それでは、2番の歌詞へ続きます。
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