今回はYOASOBIの「ハルジオン」について考察していこうと思います。
ハルジオンの花言葉は「追想の愛」。
失恋がテーマとなっているこの楽曲に込められた思いとは。
そして主人公が抱く追想、つまり過去とは一体なんなのか、詳しくみていきましょう。
当サイトては積極的にコメントを募集しています。
考察内容に「共感できた」「共感できなかった」など何でも構いませんので、あなたの声をお寄せください。
※意見主張の場として、興味のある方はご参加くださいませ。
YOASOBI『ハルジオン』はどんな曲?
YOASOBI『ハルジオン』歌詞
過ぎてゆく時間の中
あなたを思い出す
物憂げに眺める画面に映った二人
笑っていた知りたくないほど
知りすぎてくこと
ただ過ぎる日々に呑み込まれたの
それでもただもう一度だけ会いたくてあなたの言葉に頷き信じた私を
一人置き去りに時間は過ぎる
見えていたはずの
未来も指の隙間をすり抜けた
戻れない日々の欠片と
あなたの気配を
今でも探してしまうよ
まだあの日の二人に手を伸ばしてる境界線は自分で引いた
「現実は」って見ないフリをしていた
そんな私じゃ
見えない見えない
境界線の向こうに咲いた
鮮烈な花達も
本当は見えてたのに知らず知らずの内に
擦り減らした心の扉に鍵をかけたの
そこにはただ美しさの無い
私だけが残されていた青過ぎる空に目の奥が染みた
あの日の景色に取りに帰るの
あなたが好きだと言ってくれた私を誰にも見せずに
この手で隠した想いが
今も私の中で生きている
目を閉じてみれば
今も鮮やかに蘇る景色と
戻れない日々の欠片が
映し出したのは
蕾のまま閉じ込めた未来
もう一度描き出すあの日のあなたの言葉と
美しい時間と
二人で過ごしたあの景色が
忘れてた想いと
失くしたはずの未来を繋いでいく
戻れない日々の続きを歩いていくんだ
これからも、あなたがいなくても
あの日の二人に手を振れば
確かに動き出した
未来へ引用:YOASOBI『ハルジオン』作詞/作曲:Ayase
『ハルジオン』は、2020年5月11日に配信リリースされた楽曲となります。
この曲はエナジードリンクの「ZONe」が主催する「IMMERSIVE SONG PROJECT」で書き下ろされたものです。
原作は橋爪駿輝さんの「それでも、ハッピーエンド」。
「没入」というテーマから、女性が失恋し立ち直っていく様子が描かれています。
橋爪さんはインタビューで、「ハルジオン」の楽曲について以下のようにコメントしています。
[橋爪駿輝さんコメント]カッコいいなあと(笑)。メロディの後半、ギターだけがかき鳴らされる部分とか、最後でさらっと終わる、それでいて余韻が感じられるのが好きです。歌詞では〈この手で隠した想いが/今も私の中で生きている〉というあたり。基本的に小説も音楽も、普段ならこんな恥ずかしいこと言えないよ、みたいな言葉でも表現できてしまう場だととらえています。だからこそ、この歌詞はかなり好きです
引用元URL:https://realsound.jp/book/2020/05/post-550709.html
原作小説「それでもハッピーエンド」とは?
物語の主人公は、美大を卒業し就職したばかりの若い女性。
仕事に追われる毎日で、付き合っていた彼氏と関係がどんどん悪くなっていきます。
結果的に彼女から別れを告げますが、別れた後もずっと未練を抱き後悔する日々。
仕事も鬱になり辞めてしまい、殻にとじこもるようになった彼女。
そんな彼女はどのように前を向くのか、彼との思い出は過去のものにできるのか。
失恋や鬱という少し悲しく暗いテーマですが、そこから女性ならではの強さや逞しさが感じられる前向きな成長のストーリーとなっています。
YOASOBI『ハルジオン』歌詞の意味を解釈してみた
それでは早速歌詞の意味を詳しくみていきましょう。
「昔の二人を眺める今・・・」Aメロ・歌詞の意味
過ぎてゆく時間の中
あなたを思い出す
物憂げに眺める画面に映った二人
笑っていた引用:YOASOBI『ハルジオン』作詞/作曲:Ayase
冒頭の歌詞からは二人が既に別れてしまったことが分かります。
しかし主人公にはまだ未練が残っているようで、物憂げ、つまりなんとなく憂鬱な気持ちになりながら昔の二人の写真を見ています。
まだ写真を消せずにいる彼女は、彼氏のことがきっと大好きだったのでしょう。
「別れてしまった理由は」Bメロ・歌詞の意味
知りたくないほど
知りすぎてくこと
ただ過ぎる日々に呑み込まれたの
それでもただもう一度だけ会いたくて引用:YOASOBI『ハルジオン』作詞/作曲:Ayase
二人はなぜ別れてしまったのか。
それは主人公が変わってしまったから。
仕事に追われる日々に疲れた彼女は、彼よりも自分のことで精一杯。
そしてある日彼女は彼に別れを告げます。
詳しい理由は二番の歌詞で明らかになりますが、彼女は別れてからもずっと彼に会いたい。という後悔の思いがあるようです。
「戻れない日々をもう一度」1番サビ・歌詞の意味
あなたの言葉に頷き信じた私を
一人置き去りに時間は過ぎる
見えていたはずの
未来も指の隙間をすり抜けた
戻れない日々の欠片と
あなたの気配を
今でも探してしまうよ
まだあの日の二人に手を伸ばしてる引用:YOASOBI『ハルジオン』作詞/作曲:Ayase
彼女は別れてから、友達と会話をしていても、頭の中は彼に言われた言葉、一緒にいた場所、共に過ごした時間を思い出してしまいます。
未練があるとどうしても何もかもが恋人に結びついてしまいますよね。
ずっと一緒にいる未来は、まだ手を伸ばせば届くかもしれない。
電話がかかって来ないかな。記念日にメールが来るかもしれない。
誰しも別れたあとでも少しはそんな期待をしてしまうのではないでしょうか。
「境界線の向こう側とは」Cメロ・歌詞の意味
境界線は自分で引いた
「現実は」って見ないフリをしていた
そんな私じゃ
見えない見えない
境界線の向こうに咲いた
鮮烈な花達も
本当は見えてたのに
しかし、別れを決断したのは自分自身。
毎日の毎員電車、クライアントからの無茶な要望、連日続く残業。
そんな現実は二人の関係をどんどん壊していきました。
本当はどうにかしなくちゃいけなかったと主人公も分かっているようですが、「現実」問題忙しい。構ってられない。
「鮮烈な花達」というのはきっと二人の明るい未来のことでしょう。
境界線の向こう側に見えていた未来は自分の手によって手放してしまいました。
「別れた本当の理由は・・・」2番Bメロ・歌詞の意味
知らず知らずの内に
擦り減らした心の扉に鍵をかけたの
そこにはただ美しさの無い
私だけが残されていた青過ぎる空に目の奥が染みた
あの日の景色に取りに帰るの
あなたが好きだと言ってくれた私を引用:YOASOBI『ハルジオン』作詞/作曲:Ayase
「化粧をするのも久しぶり」
別れてから主人公はこんなセリフを言っています。
会社にも行かなくなりどんどん醜くなって行く自分。
彼にはそれも含めて全てを理解して欲しかったようです。
しかし自分のことも愛せない人をどうやって愛せばいいのか。
自分といることは彼にとってもよくない、きっとそんな思いから彼女は別れを決断したのでしょう。
「開き始めた蕾とは」2番サビ・歌詞の意味
誰にも見せずに
この手で隠した想いが
今も私の中で生きている
目を閉じてみれば
今も鮮やかに蘇る景色と
戻れない日々の欠片が
映し出したのは
蕾のまま閉じ込めた未来
もう一度描き出す引用:YOASOBI『ハルジオン』作詞/作曲:Ayase
仕事から鬱になっていた自分。
そんなある日友人に連れられて絵画の個展に行くことに。
絵を見ているうちにもともと夢だった画家にもう一度向き合おうと彼女は思えるようになります。
そんな前向きな思いは、ずっと閉じ込もっていた日々と憂鬱な思いをいつしか吹っ切ることができました。
「未来へ行く新たな自分」ラストサビ・歌詞の意味
あの日のあなたの言葉と
美しい時間と
二人で過ごしたあの景色が
忘れてた想いと
失くしたはずの未来を繋いでいく
戻れない日々の続きを歩いていくんだ
これからも、あなたがいなくても
あの日の二人に手を振れば
確かに動き出した
未来へ引用:YOASOBI『ハルジオン』作詞/作曲:Ayase
「もう一度あなたに会いたい」
そう思っていたことも彼女の中ではもう過去のもの。
そして「戻れない日々の続き」というのは彼と過ごす日々ではなく、自分自身がこれから歩んでいく道のことではないでしょうか。
あの頃彼に愛されなかった自分は、これからは自分で愛していく。
自分自身と一番長くいるのは、自分なのだから。
そうやって、過去の自分にも彼にも手を振り新たな自分を彼女は探しに行ったのではないでしょうか。
YOASOBI『ハルジオン』歌詞の意味を解釈 まとめ
https://twitter.com/YOASOBI_staff/status/1260586540654198784
失恋がテーマとなっているこの楽曲。
誰しも大人になれば忘れられない失恋ってしたことがあると思います。
楽しかった日々にまた戻りたい。
そんな後悔の想いはどんどん自分を閉じ込めてしまいます。
しかし、いくら過去と向き合っていても前には進めません。
本当になりたい自分を探して、過去とも別れる決断をしたとき人は成長できるのではないでしょうか。
そしてそんな自分を愛してくれる人にもきっと出会えるかもしれません。
だからいつかくるその日のために、まずは自分自身と向き合い愛すること、そして過去とお別れすることが大事なのかもしれません。
YUZU科
そんな前向きなメッセージがこの曲には込められているのかもしれません。
という訳で、今回は以上です。
ご一読いただきありがとうございました。