Eve「廻廻奇譚」の歌詞の意味を解釈|2番
どんなことがあっても負けないで|2番Aメロ
抒情的感情が揺らいでいくバグ
従順に従った欠陥の罰
死守選択しかない愛に無常気
声も出せないまま引用:Eve「廻廻奇譚」歌詞
■抒情的:感情が外にあらわれるような様子。情感あふれるさま。
■無常気:世の中をはかなく思う心。
前半部分は虎杖が自分の力ではどうしようもない場面に出くわした時の心の動きを表現しています。
作中で友達になる非術師の「吉野順平」が、母を失った悲しみから「真人」に隷従し虎杖と対峙し、「従順に従った欠陥の罰」=報われない最期を迎えることを示唆しているのではないかと解釈できます。
そして、後半部分は呪霊側についてしまった順平を救うため、式神の毒を真正面から受け止めて説得しようとする虎杖の心情を表しており、
命をかけて順平を守ろうとするが失敗し、悲しみや怒りの感情が押し寄せ、「声も出せない」状態になってしまった瞬間を切り取って描写しています。
傀儡な誓いのなき百鬼夜行
数珠繋ぎなこの果てまでも
極楽往生 現実蹴って 凪いで
命を投げ出さないで引用:Eve「廻廻奇譚」歌詞
■百鬼夜行:いろいろの化け物が夜中に列をなして出歩くこと。
■数珠繋ぎ:多くの人や物をひとつなぎにすること。
■極楽往生:安らかに死ぬこと。
この一節は前の歌詞と少しかかっており、信念も何もない操り人形のような呪霊たちがこの世の中を跋扈している現状を憂いたとしても「諦めずに立ち向かっていけ」というメッセージが込められた歌詞になっています。
何だか現代社会における、負の側面に負けそうな現代人への応援歌の様相も呈していますね。
挫折と苦悩..|2番Bメロ
内の脆さに浸って
どんな顔すればいいか わかんないよ
今はただ応えてくれよ引用:Eve「廻廻奇譚」歌詞
虎杖は様々な困難に直面し、遂には自分の信じていた信念も揺らぎ始めてしまいます。
何とか立ち直ろうと自らを鼓舞しますが、なかなか上手くいかない状態を描写しています。
繰り返される再起と挫折…|2番サビ
五常を解いて 五常を解いて
不確かな声を紡ぐイデア
相殺して廻る感情線
その先に今 立ち上がる手をただ追いかけて ただ追いかけて
誰よりも強く在りたいと願う
君の運命すら 今はただ
仄暗い夜の底に
深く深く落ち込んで引用:Eve「廻廻奇譚」歌詞
■五常:儒教で、人が常に守るべきものとする五つの道。
■イデア:プラトン哲学で、時空を超越した非物体的、絶対的な永遠の実在。魂の内面。
ここでは、作品に登場する呪術師たちが経験している「挫折」について描写しています。
「五常」=「自らが守るべきと定めた信念」に対し、世界はその信念を捻じ曲げるようなことばかり起きてしまいます。
すると、「イデア」=「自分の魂の奥深く」から湧き出る負の感情が、信念とせめぎ合い「相殺」され、不安や葛藤といった感情がグルグルと負のスパイラルを起こしてしまいます。
そこから手を差し伸べて救い出してくれる仲間たちを追いかけて、強くなろうと努力をしますが、「運命」は繰り返し挫折を与えてきます。
そうして彼らは、何度も「仄暗い夜の底」に「深く落ち込んで」いくのです。
自嘲と反省..|Cメロ
不格好に見えたかい
これが今の僕なんだ
何者にも成れないだけの屍だ嗤えよ目の前の全てから
逃げることさえ辞めた
イメージを繰り返し
想像の先をいけと引用:Eve「廻廻奇譚」歌詞
呪術師たちは「何者にも成れないだけの屍」と、味わった挫折から立ち直ることを半ば諦めた自分のことを笑ってくれて構わないと開き直ってしまいます。
しかし、そんな風に逃げていた自らを省みて、自分が再起するイメージを膨らませ、そのイメージさえも超越してもう一度立ち直るのだと強く決意するのです。
そうして、一番のサビへと繋がっていきます。
立ち直った彼らは、「この世界が待ってるこの一瞬」の実現のために懸命に生きていくのです。
Eve「廻廻奇譚」歌詞の意味を解釈 まとめ
聞きなれない単語が多く、それぞれの繋がりも不明瞭なので様々なイメージや解釈ができる曲ですが…
原作に寄り添ってイメージを膨らませて考察してみました。
また前述したとおり、呪術廻戦の雰囲気を反映させた暗く重たいが少しの光が見えるような曲調のおかげで、何度も聞きたくなる魅力を兼ね備えており、大ヒットするのも頷ける良曲ですね。
いつまでも聴いていられる素晴らしい楽曲です。
以上で考察を終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
たいへん参考になりました。ありがとうございます。
ひとつだけ気になったのが、夜の帳は人が降ろすものではなく、夜の帳が降りる、つまり夜が来た、とひと続きに考えても良いのではないかと思いました。