今回はEveの「夜は仄か」の歌詞の意味について考察していこうと思います。
ちなみに、楽曲タイトルの読み方は「よるはほのか」です。
何だかタイトルからして暗い雰囲気を感じますが、一体どんな曲なのでしょうか。
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Eve「夜は仄か」はどんな曲?
Eve『夜は仄か』歌詞
今日も生きてしまったな これで何年
息を吐くように吐いた嘘は何千
這い蹲って けんもほろろになって
目が回るわそのかかとすり潰した靴でどこ行くの
蔑んだその目を閉まっておくれよ
紫煙を燻らせる染みついた部屋で一人
仄日は切なく あなたに寄り添い今すぐに言いたい
痛い 浮ついた花心
哀 会いたい言葉が
焼き増しした記憶を辿り寂しい星を待って
愛されたいを知ってしまった少年
夜空を見上げたなら 今踊って
さよならを謳って 希うまで誰にも言えない秘密があって
笑顔の裏には影があって
知らない自分を知って欲しいんじゃなくて
そうじゃなくてあの時ドキドキする胸の高鳴りは
凍てつく心を溶かしてしまえたら
この手をすり抜ける 陽だまりの中で独り
仄日は切なくあなたに寄り添い真っすぐに誓い
痛い 浮ついた水心
愛 咲いた花びら
散りゆく最期までを僕に寂しい星を待って
愛されたいを知ってしまった少年
夜空を見上げたなら 今踊って
さよならを謳って 希うまで寂しい星を待って
愛されたいよ少年
夜は仄かになって
寂しい星を待って
愛されたいを知ってしまった少年
夜空を見上げたなら 今踊って
さよならを謳って 希うまで今日も生きてしまったな これで何年
ただなんだか気分はいいみたいだ。引用:Eve『夜は仄か』歌詞
本楽曲「夜は仄か」はEveのメジャー8作目の作品で、2021年4月30日に配信リリースされたもの。
2021年6月現在、YouTubeでの再生数は800万回を超えるヒットを記録しています。
MVはタイ出身のクリエイター「zemyata」氏が手掛けており、Eveが海外クリエイターと作品制作するのは今作が初となります。
曲の雰囲気は全体的に暗く退廃的ですが、前面に出されたベースドラムのリズムに乗ったアップテンポで中毒性の高い一曲となっています。
Eveらしさ全開の聞けば聞くほどハマっていく感覚は、ファンにはたまらないですね。
Eve「夜は仄か」の歌詞の意味を考察&解釈
本楽曲「夜は仄か」では、「孤独」と「愛」についてストレートに歌い上げています。
僕は曲全体を通して一貫して「孤独で退屈な人生」に対して希望を与えてくれる「愛」というテーマで歌い上げていると解釈しています。
退屈な人生に飽き飽きしながらも諦めずに生きていく「少年」の様子に共感することでこの曲の歌詞を深く理解できると思います。
大切な人に会えない苦しさ|「夜は仄か」1番
今日も生きてしまったな これで何年
息を吐くように吐いた嘘は何千
這い蹲って けんもほろろになって
目が回るわ引用:Eve『夜は仄か』歌詞
ここでは、本楽曲「夜は仄か」の主人公=「少年」の人生への諦めにも似た感情を描写しています。
「今日も生きてしまった」=生きてしまったと言っていることから、既に死ぬことすら考えていることが伺えます。
そして、そんな風に人生をあきらめているから、「これで何年」か分からなくなっていると解釈できます。
同時に、諦めてから「少年」にとって長い年月が経っていることも伺えます。
「何千」回も呼吸するように嘘をついてきたのは自分の存在を退屈な人生に潰されないようにするためでしょうか。
その姿は、傍から見ると地べたに「這い蹲って」誰も取り付く島もない(けんもほろろ)キツイ印象を与えます。
「目が回るわ」とは、そんな捉えどころのない少年を見た周囲の人たちの嘆きだろうと解釈します。
そのかかとすり潰した靴でどこ行くの
蔑んだその目を閉まっておくれよ
紫煙を燻らせる染みついた部屋で一人
仄日は切なく あなたに寄り添い引用:Eve『夜は仄か』歌詞
ここでは場面が移り、「少年」が想いを寄せる人物=「あなた」の描写がされていると解釈します。
「かかとすり潰した靴」で出歩き街を闊歩する「あなた」を「少年」は「どこ行くの」と追いかけます。
「蔑んだその目」とあることから、今の「少年」の様子に対して「あなた」は何か思うところがあり軽蔑しており、「少年」は「閉まっておくれよ」と今の自分のことを理解して欲しいと訴えています。
「あなた」は「少年」が人生に諦めを抱いた後でも大事にしたいと思える人物であるが、何か理由があり近づけない状態にあると解釈できます。
そして、臭いが染みついた部屋でタバコを吸いながら(紫煙を燻らせる)、夕日を受けながら去っていった「あなた」のことを思い浮かべている「少年」の様子が描写されます。
一人になって思い出すほど、「あなた」のことを大事な存在だと思っている「少年」の心情が伺えます。
今すぐに言いたい
痛い 浮ついた花心
哀 会いたい言葉が
焼き増しした記憶を辿り引用:Eve『夜は仄か』歌詞
そんな想いが募ってたまらなくなり、「少年」は「あなた」との記憶を辿っていき、更に思いを募らせます。
ここで出てくる「花心」ですが、花が散ってしまう様子を心の動きに当てはめて、移ろいやすい心や浮気心を表す言葉です。
「あなた」以外に目移りしたり忘れかけてしまうこともあるけど、思い出を振り返るとどうしても「あなた」に会いたい気持ちが膨らみ、
「会いたい」という気持ちを「今すぐに言いたい」と苦しんでいると解釈できます。
なぜ、「少年」は苦しんでいるのでしょうか。
「あなた」に素直に会いに行けない理由があるのかもしれません。
生きるための力は|「夜は仄か」サビ①
寂しい星を待って
愛されたいを知ってしまった少年
夜空を見上げたなら 今踊って
さよならを謳って 希うまで引用:Eve『夜は仄か』歌詞
ここでいう「寂しい星」ですが、言葉通りに捉えると、うみへび座を形作る星の中で最も明るい星「アルファルド」のことを指しているのではないかと解釈できます。
「アルファルド」はアラビア語で「孤独なもの」という意味であり、孤独がゆえに「寂しい星」だと言えるかと思います。
そんな孤独で寂しい星が空に瞬き始める時間になるまで「あなた」のことを考えていた「少年」は、自分が「愛されたい」という気持ちを持っていることを自覚します。
退屈で諦めきっている人生をいまだに生き続けている理由は、他でもない「あなた」にもう一度「愛されたい」という気持ちからなのでしょう。
そして、それが叶わない願いだということもすぐに分かります。
「さよならを謳って」=誰かに対して別れを伝えようとしています。
そう、相手は「あなた」であり、これまで「少年」が想い続けて苦しんでいたのは「あなた」がもう二度と会えない存在だからだと解釈します。
「少年」はその事実を受け入れながらも、「寂しい星」が瞬く「夜空を見上げ」、「あなた」に会いたいと「希う」のです。
寂しい気持ちの正体は|「夜は仄か」2番
誰にも言えない秘密があって
笑顔の裏には影があって
知らない自分を知って欲しいんじゃなくて
そうじゃなくて引用:Eve『夜は仄か』歌詞
ここでは、退屈な人生を少しでも良くするために、「あなた」に代わる人たちを探すが上手くいかない「少年」の気持ちを描写しています。
「誰にも言えない秘密」や「笑顔の裏には影」があって、それを曝け出しても「あなた」は受け入れてくれたが、最近出会う人たちにはそもそも自分の嫌な部分を見せられない「少年」はジレンマを抱えます。
別に「知らない自分を知って欲しい」わけではないのだが、どうしても「あなた」との輝かしい記憶がチラついて、自分の全てを受け入れて欲しいという理想を抱いてしまい苦しむのです。
あの時ドキドキする胸の高鳴りは
凍てつく心を溶かしてしまえたら
この手をすり抜ける 陽だまりの中で独り
仄日は切なくあなたに寄り添い引用:Eve『夜は仄か』歌詞
「少年」がここまで「あなた」に固執しているのは、特別な理由があるからだと考えるのが自然ですよね。
ここでは再度、「少年」が過去の気持ちを思い起こす描写がされています。
「あなた」と出会ったときの「胸の高鳴り」が、人生を諦めて他者からの接触を拒むように閉ざしていた「心を溶かして」くれたのです。
それは「少年」にとって初めての出来事で、印象深く残っているのでしょう。
その記憶を思い出している時は、温かい「陽だまりの中」にいるように感じられるのですが、自分は「独り」だと不意に感じてしまい、やはり「あなた」が夕日とともに去っていった事実に変わりないと思い知るのです。
「あなた」と一緒にいた時と去っていった後のことを、「陽だまり」と「仄日」で対比させた洒落た歌詞ですね。
真っすぐに誓い
痛い 浮ついた水心
愛 咲いた花びら
散りゆく最期までを僕に引用:Eve『夜は仄か』歌詞
「水心」についてですが、これは「魚心あれば水心」の略だと考えます。
「魚心あれば水心」の意味は、相手の出方次第でこちらの応じ方が決まること、転じて相手が好意を示せば自分も示すといった意味です。
ここでは、「少年」が「あなた」のことを想い続けているけれども、その想いに応えてくれる「あなた」はもうどこにもいないという事実に胸を痛めている描写と解釈できます。
「あなた」は、満開に咲いた花びらのように沢山の愛情を「少年」に与え、その花弁が全て散ってしまうように「愛」の儚さも同様に教えて、勝手に去って行ってしまったのです。
「愛」なんて知らなければ、もっと楽で幸せな生活が送れたかもしてないのに、、、という「少年」恨み言のように聞こえますね。
もう一度会いたいと思う理由は|「夜は仄か」サビ②
2番を聞くと、サビの解釈も少し変わってきます。
「少年」が「愛されたいを知った」のは「あなた」と出会って愛し愛されることの素晴らしさを教えられてしまったからで、「さよならを謳って」はみるもののやはりまた「あなた」に愛されたいと願うのです。
サビ①での「会いたい」という願いの正体は「愛されたい」という気持ちからだったのですね。
夜は仄か|Cメロ・ラスサビ
寂しい星を待って
愛されたいよ少年
夜は仄かになって
寂しい星を待って
愛されたいを知ってしまった少年
夜空を見上げたなら 今踊って
さよならを謳って 希うまで今日も生きてしまったな これで何年
ただなんだか気分はいいみたいだ。引用:Eve『夜は仄か』歌詞
遂にストレートに「愛されたい」と訴える歌詞になり、「少年」の想いがどんどん強くなっていることが伺えます。
その次の歌詞で、本楽曲タイトルである「夜は仄か」が使われています。
「仄か」にはわずかにそれと分かるという意味があり、「夜は仄か」で夜明けに近くなってきていることを示しているのではないかと解釈します。
「少年」の「愛されたい」気持ちが強くなると、夜明けが近くなる=希望が見えてくる、ということを喩えているのではないでしょうか。
退屈な人生を生きてきた「少年」は愛し合うことの素晴らしさに気付き、最後には「なんだか気分はいい」と感じ、どうしようもない自分の人生も捨てたものじゃないと少し前向きに生き始めたことが分かる歌詞です。
ちなみに、「寂しい星」は「アルファルド」という星のことだと言いましたが、この星は夜空で見つけると本当にぽつんと独り取り残されているように見えます。
しかし、その輝きは孤独に負けることなく、自分はここに在ると主張するようにキラキラとしています。
「少年」もこの星と同じように、孤独に負けることなく、「あなた」に対して自分は元気にこの世で生き抜いていると伝えたいのではないでしょうか。
Eve「夜は仄か」歌詞の意味は? まとめ
このご時世、大好きな「あなた」に会うことが難しくて満たされない気持ちを抱えている人も多いかと思います。
しかし、その満たされない気持ちは今までの交流があったからこそ生まれるもので、今は会えなくても過去の楽しかった思い出があれば生きる糧になると思うのです。
「夜は仄か」の中での「少年」及び「あなた」は、聞いている人とその大切な人のことを示しているのかもしれません。
「寂しい星」となって、「あなた」にまた会える日まで退屈な生活を乗り越えていきたいものです。
以上で考察を終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。